【放談住宅 2021/06/23】
「…眠い。
 眠いから、軽めで
 わかりやすいネタを」
「在宅勤務…
 キツそうやった、もんなぁ」
「在宅勤務の中身は、
 社外秘として、ご内密に…」

「普門館。
 杉並の、でーっかいホール。
 あたしの世代で、
 中学校・高校で、
 吹奏楽部にいた方は、
 知ってるんじゃないか…
 『と、思います』」
「アンタは、どうなん」
「…良く知らなかった、ね。
 ちょっと事情が、ありまして」

「長い間、
 全日本吹奏楽コンクールの、
 中学の部、高校の部の
 全国大会が行われましたのが、
 この、普門館。
 …思いっきり、
 立正佼成会の施設なんだが、
 ソレは、良かったんだろうか」
「吹奏楽コンクール…
 へ?予選も出てなかったん?」
「だってウチの高校の
 吹奏楽部、
 あたしがいた頃は、
 吹奏楽連盟から『除名』
 されてまして。
 出られなかったんですね」
「『除名』って…なんで?」
「連盟費、払い忘れーっ!」
「なんでやーっ!」

「あたしが入る前年に、
 『部が、崩壊しかかるほどの』
 大痴話喧嘩が起きたらしく、
 その、騒ぎの中で、
 『連盟費、忘れてたらしい』
 部が崩壊しかかっていたから、
 連盟からの注意も、
 なんか…見過ごされた…らしい」
「アンタが入った、あとは?」
「1年生の時は…
 5~6人じゃ、
 なんにも、できないもん。
 神宮第二球場での、
 『野球部の予選の応援』は、
 引退しかかっていた3年生を、
 なんとか、なんとか!お願いして、
 事なきを得た…はず。
 2年生の時は、
 1年生をそうとう、釣ったから、
 人数は増えました。人数は。
 けど、『人数増やす』が
 目的になっちゃってー…
 かなーり、木管楽器だらけに
 なっちゃったんだよねー…
 一応、コンクールの話も、
 『振っては、見ました』」

「吹奏楽コンクール…
 どうしようか、ね。
 実は、連盟入ってないんだよね、
 この部」
「なんでー?」
「…連盟費の払い忘れで、
 連盟から、除名されているそうです」
「今いる、部員だけで、
 出ることになるんでしょ?
 コンクール」
「中学、未経験者だから、
 良くルールが、わかんないけど。
 …そうでしょ?」
「余裕で予選で、落ちるよねぇ?」
「…ねー!たいへん、だし」
『出なくて、いいよ!!』
「…じゃ、連盟への復帰も、
 先送りで、いい?」
「…吹奏楽コンクール、
 出ないんだったら、
 いいんじゃないー?」
「じゃ、将来復帰するときは、
 みんな、がんばって、ね…」

「その時の、1年生と2年生が、
 翌年、そのまま持ち上がったので。
 吹奏楽コンクールなんて、
 『忘れて、まして』
 あたしは、そのまーんま、
 引退して、卒業しちゃいました。
 まぁ、現実問題として、ね。
 3校合同で出ていた、
 『地区音楽会』に、
 かなーりエネルギーを
 取られて、しまうので。
 いっぱいいっぱい、と言えば、
 いっぱいいっぱい、でした」
「楽しそうな思い出、と
 話は聞いとったけど…
 『運営』は、
 タイヘンやったんやね…」
「あたしが2年生になったときの、
 『部が、つぶれるーっ!!』は、
 本気で、怖かった…
 ありがとう、1年生。
 いや。
 『ありがとうございます。
  1年生の、皆様』」
「先輩なんやろ?」
「頭、あがんないもん」

「もちろん!
 『現在の』
 母校の、吹奏楽部は、
 ちゃーんと、毎年、
 吹奏楽コンクールに、
 出てる、らしいですよ!!
 …予選から先の話が
 消えているから、
 まー、そういうことだとは
 思うけど」
「全国って、大変なん?」
大変も、なにもっ!!
 強豪の、ここ、あそこ、あちらに
 勝てる気は、
 まーったく、しません」

「なので、あたしが普門館を、
 初めて『見た』のは、
 実は、就職してから…
 なんだよね。
 方南町あたりに、
 ちょっと、用事があって、さ。
 あの、でーっかいのは、
 もしや…
 『アレが、普門館かっ!!』
 夜だったんで、
 シルエットしか、見えなかったけど。
 そして、普門館自体が、
 『耐震工事が、できない』…と、
 取り壊しが決定となり。
 現在での吹奏楽コンクールの
 全国大会は、
 名古屋国際会議場
 センチュリーホールで
 やっている…らしいです」

「と、言うこと、は。
 普門館には、なんにも、
 思い出がない…っちゅーこと?」
「吹奏楽部の中でも、
 話にすら、出なかったもんねっ!
 正直、
 かつしかシンフォニーヒルズの、
 モーツァルトホールの方が、
 思い入れが、あります。
 あたしの頃の地区音楽会は、
 そこで、やっていたので。
 そして、弟も、中学で、
 ちょっとだけ、吹奏楽部に
 いたんだけど…」

「えっ!コンクール、
 出たこと、ないの…?」
「だって、連盟から、
 除名されてたんだもん…」
「除名って…きいたこと、ない」
「あたしも、『母校以外で』
 きいたこと、ない」

「という、かなしい会話が、
 されましたと、さ」
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