新卒の会社で、
新入社員研修とか、
プロジェクト立ち上げのための
要員育成とかで、
大型コンピュータの使い方、
ある程度は「教育」
されていたんだけど、
あくまであたしは
オープン系。
Windowsとか、
Visual Basicとか、
Oracleが担当だったのね。

とあるお偉いさん会議にて。
「…大問題だ。
 大口のあそこで、
 突然の欠員が出た…」
「大型コンピュータのエンジニア…
 本社系も製造系も、
 ぎりぎりどころか、
 むしろ、足らない位です」
「客先常駐から、
 引っ張って来ることは?」
「まず、不可能です」
「協力会社は?」
「『即日入場』なんで、
 足元見られて、
 単価が…です」
「誰か、いないものか…」

『氷室。
 氷室なら、うまく
 立ち回るんじゃないか?』
「あ…いた」
「確か、氷室は
 第二種情報処理技術者、
 COBOLで合格してるはずです」

『行ってもらおう』

この時、あたしは何と
「以前から予定していた
 休暇中」でして、
会議をこっそりと
聞いていた主任が、
こそーっと、
あたしにメール送ってくれた。
まだ、グレーの公衆電話に
電話線繋いで、
携帯端末でメールを
やりとりしていた時代。

『決まったらしいよ』
そのメールを見た瞬間…
『ぶちっ!!』
電話線引っこ抜いて、
会社に電話!!!
「主任!主任出して!」

「メールしたとおりでね、
 …決まっちゃったみたいよ?」
「部長!部長を出せぇ!!!」

「あー、そ」
「御託はいいから、
 会社のそばで、
 どこか店、押さえとけ!
 あと、今日スーツ着てないからね!」

「あー、わかった」
がちゃん!

かんぱーい。
「行け、ってんでしょ?」
「まぁまぁ…」
「あたしのご意見ご要望は、
 まったく、とおらない
 模様ですねぇ!!」

「次は、好きな現場を
 選ばせるから…」
これ、『空手形』でした。

翌日、
「30分だけ本社に居ていい」
とのことなので、
ありあわせの荷物作って、
部長とタクシーで客先へ。

ふつう、客先常駐って
「顔合わせとおらないと
 常駐できない」んだけど、
『きれいにすっ飛ばされた』
行ったら突然、
客先の役員と名刺交換だし、
何より…
『席が、もうある』
端末込みで。

いくらあたしでも、
いきなり、客先の
大型コンピュータは
わかんないよ…と
同じ会社から常駐している
メンバーに色々
聞いてみたところ、
「雰囲気が、ちがう」

どうやら、ウチの役員に
経歴詐称されている模様。
VB+Oracleのところを
COBOL+大型コンピュータに
書き換えられている…らしい。

定時後、タクシーで
本社にとんぼ返りして、
大型コンピュータ担当の同期に土下座。
「あたしに、
 大型コンピュータを、
 教えて、ください!!!」

「教えてって…
 とりあえず、何?」
「フォームオーバーレイ、
 さっぱりわかんない…」
「オーバーレイ…
 ADJUSTかなぁ…」
「マニュアル、
 コピーしていい?」
「そら、いくらでも」

一週間、二週間、
「冷や汗と頭痛しか出なかった」
マニュアル見ても、
JCL、いまひとつわかんない…
『あれ?????』
カード、カードって、
JCL一行…これ、
『パンチカード一枚』ってこと?
そこから、
するするっと、知識がつながった。

「オープン系から
 大型コンピュータ」という
普通ではありえない
進み方したし、
「製造系」から「金融系」へ
突然の転向…というのも
普通では、ありえない。

『なんとか、しました』
…リアルに社運が
かかっているの、
「無言の空気」で
伝わって来てたので。
席にマニュアル積み上げて、
「無言で知識を
 ひたすらつなげていった」
一か月経たないくらいで、
バッチであれば、
JCLも、COBOLのソースも
書けるようになった。

まぁ…その後
「部長は、飲みに行くたびに
 リアルに酒で潰して、
 他の常駐メンバーと
 足と腕持って、
 地下鉄に放り込んだ」
しかも、何回も。

そのくらいは。
「かすり傷」にも
なんないよね☆

ほんと。
よく。
「なんとか、なった」よ…