【放談住宅 2020/08/08】
えー。
精神科、行ってきたんですよ。
2つのトラウマの話、
主治医に、してきたんですよ。
父に無理矢理、
ディープキスされたこと。
小学校6年間のうちの3年間を、
中学受験で潰されて、
子どもらしく、過ごせなかったこと。
この2つを。

精神科医としては、
ものすごーくベテランのはずの主治医が。

『絶句。』

そら、そうだわなぁ…
むしろ、医療者・治療者として、
そこに座っていることに対して、
同情したい…という感じでした。

まぁ、そんな感じの中で、
ふと、思ったことを。


良くこう、世間で言われるところの、
『逃げるな』
いや、この言葉、
傷ついている人に対しては、
厳しすぎるよー…と、思う。

心の傷って、見えないからね、
「自分でも、わかんない」
自分でもわかんないものが、
他人にわかるか。
「わかる訳が、ない」

で、心の傷って、
傷の種類によっては、
ずーっと、癒えることがなく、
「ずーっと、痛い」
…ありえるよね。
癒えてるんじゃなくて、
「忘れているだけ」
「今、気付いてないだけ」
こういうことって、あると思うのね。

でね。
何かに対して、
『逃げるな』と言う。
そら、言う方は言うだけだから、
言うことは、できるよ?
じゃ、傷を受けている側はどうか。
…傷からどんどん、血が流れていて、
立ち向かうなんて、無理!!
うん。ありうる、ありうる。

だから、『逃げること』自体は、
決して悪いことではないと、
あたしは思うの。
まず、「傷」を、なんとかしないと。
せめて「痛み」を、なんとかしないと。

そしてね。
傷ついている側は、何とかしたいから、
本とか読んでみて、何かヒントが
欲しいんだけど。
『文章が、入ってこないから』
例えばね。風邪ひいたとする。悪い風邪。
熱は39度。頭痛はがんがんしている。
そんな状態で、
「家庭の医学」とか、そういう本読んでも、
読める訳が、ないでしょ?
そういう状態であれば、答えとしては、
栄養付けて、お薬飲んで、
「布団かぶって、寝る」
これに、大きな異論は、ないと思うの。

ところが、ね。
なぜか世の中的に、「心の傷」に対しては、
『そんな弱い自分で、どうする!』
『立ち向かえ!戦え!』
…みたいな話が、まかり通っている。
そして、半ば「常識」に
なってしまっているので、
『傷ついた側が、責任を感じてしまう』

…いや。
まず、心の傷を、何とかしようよ。
お薬飲んで、布団かぶって寝て…って、
『眠れないし、休めない』
それは、あたしにも経験ある。
何かヒントを…って、
Google先生に聞いてみたりして、ね。
けど、文章が頭に入らない。
「心が、極限状態」だから、ね。

だから。
とりあえず、「逃げる」
『逃げていい』
これから先、どうするかは、
心の傷の痛みが、
つらくない状態になってから、
冷静に考えていいことだと、
あたしは思うの。

火事から、やけどを負って、
逃げて来たことに対しては、
誰も非難することは、できないでしょ?
『心に傷を負って、逃げて来た』
…なぜか、非難されることがある。
もう、これに関しては、
「世間が悪い」って、
責任転嫁してしまって、いいと思う。

だから、ね。

『逃げていい』


あたしはそう、考えています。
(158号)