【放談住宅 2020/08/31】
昨日の話、ね。
ほんと、
好意的に取ってもらえたみたいで、
ありがたいです。
この、難しい世の中に。
今、子どもと30秒話をしただけで、
「事案」ですからね。
そんな中、
「小学生、いいなぁ。
 もう一度やりたい…」って
言ってるんですから。

あの頃ねぇ。
毎日が奇跡みたいな世界だよねぇ。
学校終わって、
家にランドセル放り投げて。
どこ行くかって、
クラスの女の子の家、だからねー。

さっきね。
「ぬりえ、やってるはずだけど、
 家には、なかった気がする。
 幼稚園?違う。どこだぁ?」と
記憶をたどっていったら。
「あー。
 放課後、女の子の家で、
 やってたんだ」
いろんなことして、遊んだよね。
飾り付きのゴムが、
懐かしく見える、はずだよ。
「何度も…結ばせて、もらったもん」
確か、3年生あたりかなぁ。

憧れの結晶が、
記憶に化けたのかと思ってたけど。
あの、女の子の髪の毛の、
絹糸より細くて、しなやかな
手触り、覚えてる。
「いいの?」「いいじゃん!」
一緒になって、
髪の毛で遊ばせてもらってたんだよね。

右手にコーム持って。
「へー。うまいじゃん」
「そうかな…どうするー?」
「好きでいいよ!」
「じゃ、後ろ一つでまとめて、いい?」
「いいよー!」
ここからは、前髪だから、
ここらへんから取って行って。
うえ…よこ…取れた。
コームでもう一度、整えて。
手の中に、まとめて行って。
うしろも、うなじからすくい上げて。
「どのへんー?」
「もうちょっと、うえ!」
崩さないように合わせて行って、
しっかり目に、ちゃんと取って。
右手にゴムを取って。
さいしょで、しっかり。
鏡見て…だいじょうぶだよね。
まとめて…
結んだ先を、コームで整えて。
「ほら。…どう?」
女の子が、左右を鏡で見て、
バランスを確認して。
「へー!希、うまいじゃん!」
えへへ…って、うしろで照れてる。

「じゃ、希も!」「え…いいよぉ」
「なんで!いいじゃん!!」
短いから、「ちょこ」としか
ならないんだけど、結んでもらって。
そこの家のおかあさんに、
「へー。かわいいじゃないー」
えへへ…って、照れてみたりして。

授業中とか、
「ふーん…」って、女の子の髪型を
見ていたのが、こうして実を結ぶと、
うれしいんだよねー。
ちっちゃいんだよなー、
女の子の頭って。
そこに、細くてしなやかな髪。
壊れるんじゃないかって、
思ったことも、あったっけ。
その家のおかあさん…
良く怖がらず、嫌がらずに。
心配だったろうなー。
そして、
毎回うまくいく訳では、ないんだよね。
さすがに、経験足らないからね。
うっ…軽くまずい。
コームくわえて、左に持ち替えて。
もう一度、コームくわえて、
片目で見て…たてなおしたぁ!
それでも、ダメなら。
「ごめん!一回、おろす」
「もー!」
きちんと、おろして。
うえ・よこ…うなじから…
「こんどは、いった!!」
ゴムでまとめて、
さいごに、毛先。…どう?
「んー。まぁまぁじゃん?」

これなぁ…
良くみんな、嫌がらなかったよなぁ。
おかげで、
「ヘンな、憧れフィルター」には、
ならなかったんですよ、ありがたく。
実際に、自分の手で、
女の子の髪、結ってるからね。

そして。
6年生あたりになって、突然。
「コイツ、
 何気に髪の毛結ぶの、うまい」
は? …あーっ!!!!
「昔じゃん!何年も前、じゃん!!」
「真っ赤になってやんのー」
「いい天気ですねー」
「なに、それ」

やっぱり、奇跡なような、気がする。
ほんとうに、壁とか、なかった。
それこそ、嘘みたいに。
(181号)