アレねぇ。
何年生だっけ。
お楽しみ会で、あたしが、
「王子の狐」やったの。
たしかー…
小学三年生か、小学四年生。

小学生だから…
「上下が、わかんなくて、ねぇ…」
どっち向いていいんだか、
「さっぱり、わからん」
適当に、首振った、思い出。

あーーーー!!!
そこで、か!!!
全校生徒の前でも、物怖じしない、
「魂」が、ぽんと、宿ったのは。
…狐が上手く、
化かしてくれたのかも、ね。
扇屋でもって、卵焼き買って…
王子の稲荷へ、お参りするかねぇ。

これ、江戸っ子でも…
「背中が、寒く、なるよ!!」
王子の狐が、江戸郊外の、
小梅村の小学校に、遊びに来て。
あたしの噺を聞いて。
ぽん、と「化かして」くれたんだから。
「こんな上手い話、あるかよ!!」

…あの男にやられた傷は。
どうやら「癒えた」ようだな。
王子の、狐さんよ。
あたしが行ったときには、
ちゃーんと。正真正銘。
扇谷の卵焼きを持って行くから、
安心して。召し上がっとくれ。

こわい!!
『こんな粋な話が、
 三十年の時を超えて、
 あたしの手許に、来るなんて』
今夜、死ぬんじゃねぇか?あたし。

ま。
それも。いい話だ、な。

(やせ我慢)

こえー…こわすぎる。