【放談住宅 2021/02/08】
あたしは、大川の向こうだけど!
ふと、思い出したから、
浅草の思い出話などを。

まぁ、「浅草へ行く」ったって、
単純に「隅田川を渡るだけ」だからね?
なんかこう、特別な思いがあるでなし、
軽い散歩とか、そういうものですよ。

祖父と行くと、だよ。
まず観音様行くのよ。
で、観音様お参りして、ね?
「鳩に餌をやる」
今じゃ浅草寺のあたりで
鳩に餌やったら、ダメだけど、
昔は鳩の餌、「売ってたの!」
祖父が二袋買って、二人でもって、
「ほーらほーら」って
鳩に餌をやる、と。
で、西の方へ向かって行って、
「蚤の市」行くの。
祖父は蚤の市が、好きだったからねー!
あー、もう知らないか。浅草蚤の市。
場所としてはー、六区の通りのー、
浅草演芸ホールからROXにかけての、
「反対側」
電気館ビルが建ってるでしょ?
あそこに、あった。
何て説明すればいいんだろ。
がらくた・古道具とかが、
大きなテントの下で、売ってるの。
気が付いたら蚤の市、なくなったんで、
細かくどうだかは、覚えてない。
そのあと、祖父が罪滅ぼし的に、
新仲見世の余荷解屋(よにげや)行って、
何かおもちゃ買ってくれる、と。
…そして家に帰って、
あたしのおもちゃが、祖母に見つかって、
祖父は祖母に叱られる。
「また!そんなの!買って!!」
…蚤の市も、余荷解屋も、思い出か。

祖母と行くとねー…
…ダメだ。松屋行ったら、
すぐ三越だぁ高島屋だぁ行きたがるから、
浅草通り越しちゃう。

『浅草国際劇場』?
確かに、行ってるは、行ってる。
SKD、松竹歌劇団見に行くとか、
確か「銀河鉄道999」の
ミュージカルみたいなのも、
浅草国際劇場で、やったはず。
見に行った。うん。
ただー、小学校上がるかどうかの頃に
なくなったんでー、
細かくは、覚えてない。
場所は、「今の浅草ビューホテル」

国際劇場がなくなってから、さぁ。
ゆーっくりと、
六区がさびれて行ったよねぇ。
なんかの時に、見たい映画があって、
新聞で調べたら。
「六区に映画館が、ないのぉ?」
アレには、驚いた。
ちっちゃいころは、そら、
「六区は一人で行っちゃいけない」
みたいな感じで、栄えてた。
映画館が、いっぱいあって、
盛り場中の盛り場だったんだけどねぇ。
浅草公園六区は。

近い所で『仁丹塔』?
あれも、延々とあるものだと思ってた。
雷門通りのつきあたりは、仁丹塔。
そう信じて、疑ってなかった。
「なくなって、びっくりしたよ?」
仁丹塔が!ないっ!!…って。
…で、さぁ。
厩橋か蔵前橋の、江戸通り沿いに、
「仁丹の看板」あったよねぇ?
あれも覚えているんだけどー…
ネットで調べたら、さっぱり出てこない。

まー…小学生の頃から
ひとりで行ってると、言っても。
東側は隅田川として、
北は言問通り、西は国際通り、
南は浅草通りの四角の中、だけ。
千束通りとかは、
中学校入ってから、だねー。
千束のあたりとか、
塾の帰りに探検したっけ。
…うっかりすると吉原に出るから、
ちょっとおっかないんだけど、ね。

なくなったー…なくなったー…
『松屋がなくなった』
牛丼屋じゃないよ。百貨店だよ!
…正確には「小さくなった」だけど。
今松屋浅草店って、
地下・1階・3階だけ、だけど。
東武浅草駅のビルが、
丸ごとぜんぶ、松屋だったの!
…小梅小学校の決まり的には、
「松屋にひとりで行ってはダメ」
だったんだけどー…
ウチの大人たちが、
「別に、いいんじゃない?」
なので、しょっちゅう行ってた。
しょっちゅう行くから、
エレベーターガールのお姉さんと、
仲良くなったりして、ね。
誰もエレベーターに乗ってない時に、
あたしにこれ、やらしてくれたんだよ。
「本日も、浅草松屋にご来店頂きまして、
 誠にありがとうございます。
 ご利用階をお止めして、屋上まで参ります。
 五階まで御用、御座いませんでしょうか」
あれ。肝心なところ、忘れた。
五階…五階…
おもちゃ・子ども服・紳士洋品がございます
だったよ、ねぇ?確か。
「よく覚えた!すごーい!」って
お姉さんに言われたっけ。
松屋の中も、細かく変わってるんだよね。
7階の催事場は、変わらなかったけど。
7階がまだ、大食堂だった頃。
「土曜日の午後は、
 父がクリームソーダを飲ませてくれた」
…今考えれば、単純に、
「父がビールを飲みたい、だけ」
だったんだけど、ね!
「ピーナッツちょうだい」「あいよ」
ビールについてくる、ピーナッツもらって、
クリームソーダ飲んでる、と。
あーー…思い出の中、だねぇ。

…今でも浅草は、あるよ?
あるけどー。。。
すっかり変わっちゃった。うん。
そもそも観音様が、葺き替えやったんで、
昔とは雰囲気が違ってるし、ね。
『チタンの瓦たぁ、
 観音様もさぞ、驚いているだろう』
ごくごく個人的な、むかしばなし、でした。
(310号)