【放談住宅 2021/05/19】
「相方ーっ!」
「…なんや」
「…ウィッグがまだ、かぶれません」
「まだって、もうそろそろ
 1週間になるわいな?
 ほんなん、ほいって取って、
 かぶればエエだけの
 話やんか?」
「なんか…こわい」
「何がこわい?」
「…化け物になったら、どうしよう」
「元から化け物みたいな
 もんやんかぁーっ!」
「そうだけど、ねぇ?
 …案外、買った後が問題だったか。
 在宅勤務中に、
 遊んでやろうかと思ったんだけど、
 うっかりカメラが有効になると、
 すんごく、マズいことになるなー、と」

「メイクは先にするの?
 後にするの?」
「知らんけど…
 Google先生によると、
 フェースライン、あるやんか?
 それがどう出るかは、
 かぶらんと、わからんので、
 かぶってから、という説が
 多い感じ、やな」
「…さすが、仮想の相方。
 あーーーー
 今見たら、色々、足らない」
「セルフメイク、できるんやろ?」
「できるけどー…
 …メイク落としが、ないや。
 どこ、やったっけ。
 あ。あ。あ。あ。あ。
 もう、化粧水と乳液は、
 オールインワン・ジェルでいいやっ!
 だからー、足りないのは、
 メイク落としと、スポンジクリーナー」
「スポンジ…何やの?」
「ファンデーションのスポンジは、
 洗わないといけません」
「はぁーーー、そういう、もんか」

「あと、リキッドアイライナーは、
 考えないといけないって言えば、
 そうなんだよねー…
 筆ペンって、わかる?」
「年賀状書く、アレやろ?」
「むかーしの修正液、わかる?
 ハケが、ついてたの」
「俺はわかるけど、読者様がー」
「あ。
 マニキュア!マニキュア!」
「あー、なんとなく」
「あたしのリキッドアイライナーは、
 マニキュアみたいに、
 壺につけて、しごいて使うので、
 量の調整が、すんごく難しい。
 筆ペンタイプ買わないとー」
「合計で、ナンボのもん?」
「…二千円くらい?」
「小学生やあるまいに、
 ほんなん、買うてくれば
 エエだけの話やんか!!」
「…会社帰りに、
 会社のそばのドラッグストアで、
 買えば、いいか」
「その度胸があって、
 なんでウィッグはアカンのやっ!」
「自分でも、わかんないっ!!」

「♪まっ茶色なウィッグを
 ながめては 飽きもせず
 かといって触れもせず
 そんなふうに あたしの周りで
 あたしの一日が 過ぎてゆく♪
 …掃除機って作詞は、
 小椋佳だったのっ!知らなかった!!」
「井上陽水の『白い一日』な。
 いきなり掃除機は、わからんやろ?」
「♪真っ白な掃除機を
 ながめては 飽きもせず
 かといって触れもせず
 そんな風に 君のまわりで
 僕の一日が 過ぎてゆく♪
 …これが成立するの、
 陽水、すごいなーって思ってたけど、
 小椋佳だったのね、作詞は」
「読者様のために、訂正入れときや」
「掃除機は、聞き間違いで、
 陶磁器です。陶磁器。
 真っ白な陶磁器、です」

「そうすると、
 教授、すごいねっ!!
 坂本龍一、ねっ!!
 何かっちゃ、
 すぐ女装するよ、ね」
「あの人は、好きなんちゃうん?」
「…みたいだね。
 こわいのー。こわいのー」
「寝るまでに、
 たっぷり時間は、あるやろ。
 なんかの拍子に、
 かぶって見ぃや」
「はずかしいー…」
「生娘や、あるまいに」
「ある意味、生娘よ?あたし」
「その顔と、格好で言うな!!
 何着とるん?その青いの」
「どこかの学校の、ジャージ。
 学校統廃合とかあると、
 指定店でジャージとか、
 体育館ばきとかが、
 大量に余るのね。
 それを、現金で買い付けて、
 すっげー安く売ってた店が、あったの。
 浅草に、ね。
 …箱あさって、上下が揃ったので、
 買いました」
「汚れてもエエ、格好やんか。
 女子とおんなじ、ちゅーたら、
 そうとも言えるやんか。
 …前には、進まんと」
「わかっとりま。
 わかっとります…」
(393号)