「…行きます」
「やっと、かぁ。
 もう飽きてきたわぁ」

「まず、ネットかぶります。
 首までおろします。うげぇ。
 でー…上下があって…
 広がる方が、上。
 締まる方が、下。
 下を持って、上げて、
 上を広げる感じで。
 …コレ、銀行強盗、できるね。
 金を出せっ!!」
「あのー、おつとめは、
 金融関係と聞いとりましたが」
「ウチに来ても、カネはないよ?
 そういう銀行に、
 ぜんぶ、入れちゃうから。
 とにかく地毛は、逆になろうと、
 ネットに中に、入れます。
 耳も、入れます。
 整ったら、耳、出します。
 でー。ネットの余りを、
 アメピンで、留めて、
 頭の形を、きれいにします。
 …1本で留まっちゃった。
 で。やっとウィッグ、登場。
 全体的に、振る。空気入れる。
 次に、もみあげを、探す。
 でー…後頭部から、行きます。
 はっ!!
 後頭部を合わせて、前を合わせて、
 もみあげを下げて、下に引っ張る。
 最初の工程は、これで終わり」
「ご感想は」
「…正直に、言っていい?」
「そら、正直なこと、書いてあるのが、
 個人ブログのエエとこ、やろ?
 自分に正直に、言うてみぃ」

『暑い』

「な、なに?」
「だってさ。
 こんなに髪の毛があるの、
 ヘタしたら、10年ぶり、とかだもん。
 あっちぃ。
 …アデランスも、
 考えた方が、いいかも知れない」
「あのー…言いづらいんですが。
 もんのすごいことに、なっとりますが」
「毛先、からみまくり。
 ブラシ、とおらないねぇ。
 手ぐしで行くか。
 毛先がバラけないとね?整わないの」
「手つきだけは、それっぽいんやな」
「だから、地毛で伸ばしたこと、
 あるんだって!!
 …あー、これ、スプレーだ。
 整わない。オイルスプレー」
ばしゅ。
「…思いっきり、顔にかけました。
 まずい。うげぇ」
「何やっとるん…」
ぱしゅ、ぱしゅ、ぱしゅ…
「もう、整わないところ、
 ぜんぶ、スプレーしよう。
 最悪…洗えば、いいし。
 横の前は、最悪コテかなぁ…」
ぱしゅ、ぱしゅ、ぱしゅ…
「ここは、コームだ。
 コーム使って、ていねいに…
 ちょ、つむじの毛が、おかしい。
 一回外す。ネットも外れた。
 つむじ、整えて…
 もう、ネットいいや。はっ!!
 地毛はとにかく、
 中に入れて、中に入れて…
 で、手ぐしかけて、ブラシで…」

『できましたーっ!』

「ご感想、を」
「あのさ。
 『あかぬけない、大学生』」
「な。な。なんとも」
「なんかこの春、東京に来ました!
 みたいな感じだね。
 案外アリだ。
 くっくっくっく…笑える。
 ナシじゃないね。
 完璧にノーメイクだけど」
「まぁー。
 自分が納得するのが、
 一番や、ないの?」
「自分で言うのも、ナンだけどー。
 元の顔が、ちょっとお上品系で、
 色白だからー。
 …軽くメイクしたら、
 マジで外、出られる。
 顔、白すぎ、白すぎ。
 特におでこ、あたり。
 案外、お嬢様系、
 行けるかも知れない」
「風受けたら、どない?」
「すっ飛んでくね。これだと。
 あとで2段くらい、
 大きさ締めとくわ」

「新たな、課題があるわ」
「何やの?」
「…ファンデの色、たぶん、ちがう。
 ビタミンC続けて、
 思いっきり色白に、なったから。
 一回、ちふれで、
 ピンクオークル、触ってくる。
 逆に言うと、
 課題があるとすれば、そんなもん。
 女装メイクだと、
 良く、マスクでフェイスライン、
 隠したり、するけどー…
 あたし、顔、丸いし。
 のどぼとけ、出てないし。
 案外、イケてます。びっくり」

「ちょーっと、
 恵まれすぎ、かも。
 カラコン要らないわ。
 ひげ色なかったら、
 完璧に女性、だよね」
「あれだけ、怖い怖い
 言うてた割にはー。
 …エエんちゃうの?」
「メイク、考え直さなきゃ。
 元の感じを、生かす感じで。
 …ファンデと口紅だけで、
 いいかも知れない。
 けど、まずはー…」

『慣れないと、いけません』

「髪の毛で、遊んだりするのは、
 慣れてから、だね。

 …あっちぃ。
 デビューは、
 冬がおすすめ、かも、です」
「ま…
 お好きにとしか、
 言いようが、ないわ…」