「ねー、相方ー」
「なんやー。
 風呂入った方が、ええでー
 寝てまうでー」
「あのさー。
 『難しい言葉を使ったら、
  頭が、いいの…?』」
「んー…
 そんなこと、あれへんやろ。
 人に伝わらな、意味がないやろ」
「ほらー…どこかの、おばはん。
 あたしがしっかり、筋道立てて、
 文句付けに、行ったのに。
 まーったく、完全無視で、
 まーた、偉そうなことを、
 鼻高々で、書いてるのよ。
 むずかしいことを、
 こねくり回して」
「正直…どう思う?その、おばはん」
『あわれ。』
 自分が見えてないって、
 すごく、みっともないなー…
 って、思う。
 なんだろう。
 あたしが良く言う、
 『みっともなくて、いい』とは、
 まったく違う、気がする」
「自分は、馬鹿にされること、
 まったく恐れて、ないやんか」
「…ウケが取れたら、いいよね。
 むしろ、おいしいよ、ね!」
「そこやと、思うで?
 づぼらやの、ハリボテは、
 無うなって、しもうたけど。
 ハリボテの人は、
 自分が、ハリボテ、言うことは、
 絶対に、言われたない、ことやんか。
 せやから、難しいこと、言うたり、
 自分を大きく見せたり、
 するやんか。
 それと違うて、
 どんな姿、見られても、かまへん。
 そう思っとる人は…強いで?
 例えば、小さな間違い、したとするやんか。
 ハリボテの人は、
 ハリボテが、ほころんでまうから、
 あの手、この手で、
 『ごまかし』に、出るやんか。
 見られる覚悟しとる人は、
 『ごめーん、まちがえたー!』
 この一言で、しまいや。
 せやから、新しいこと、
 どんどん、できる。
 ハリボテの人は、ハリボテの直しに、
 エラい時間かけるから、
 新しいこと、してるヒマなんか、
 あれへん訳や。
 せやから、
 『ハリボテは、一生、ハリボテ』
 気づかんのは、自分だけや」
「おー(ぱちぱち)
 あたしがこしらえた、
 偽物の関西人とは、思えない。
 …確かに、ね。
 もしかしたら、さ。
 自分を客観的に、
 指摘してもらう覚悟って、
 馬鹿にされる覚悟と、
 似てるところ、あるのかもね」
「せやろうなぁ…
 どんなこと言われても、かまへん。
 そういう覚悟が、あれへんと、
 指摘なんか、受けられる訳、あれへん。
 出てくるのは、
 あれや、これやの、言い訳や。
 そういう人間は、
 つまらんから、人が去って行く。
 …確かに。『あわれ』やな」

「ねー、相方…」
「なんやー。
 俺、決まった!って、
 満足しとるとこなのに」
「今、読み返したら、ね?
 すごく、根底というか、
 川の底の部分で、ね?
 この雑談…
 『ものすごーく、
  村上春樹クサイ』」
「ムッチャ村上春樹に、
 影響されてるんちゃう?
 中学から、高校あたりで
 読んだんやろ?
 まー…一生、覚悟しーやー」
「同じ時期に、堀辰雄も、
 そうとう読んでるんだけど、
 日本印象派の文学って、
 すごく、影響されづらいよね。
 …蒸留水みたいな、文学だもん。
 同時期…交流があった、
 室生犀星…
 やっぱり、蒸留水っぽいよね。
 いかにクリアに、
 余計な要素を、つけずに、
 そぎ落として、書くか…
 みたいなところ、感じる」
「…影響、されてるやんか」
「…え…?」
「自分が書いた、作品。
 最初の書き上がりの後、
 考えてみぃ。
 じぃーっと、読んで、
 余計なトコないか、
 要らんこと、書いてないか、
 長いこと、考えてるやんか。
 自分も、『余計な要素』は
 キライなんよ。たぶん」
「うーん…
 たった一文、たった一語でも、
 これは、余計なことなのか、
 それとも、必要な要素か。
 心に引っかかったら、
 延々、悩むよね。
 そして、訳わからなくなって、
 『読み手の方で、
  勝手に解釈、してくれーい!
  何とでも、言えーっ!
  くっそーっ!!』…って、
 発表するね。そうそうそう。
 体力ついたら、また書こうか。
 ほら。
 お姉ちゃんの服で、喜んでた、
 『輝』
 あの子は、磨いたら、
 ぜったいに、光る。
 あたしが持っているのが、
 もったいない、くらい」
「自分が、こしらえたモノに、
 もったいないって、
 言えること自体が、
 覚悟の裏返しかも、知れんな」
「お風呂…なんか、疲れちゃった」
「ま。お好きに」


自分の心が、見える「鏡」が、
あったら、欲しいな。