【放談住宅 2021/06/19】
「一番に 入れるスイッチ なんでしょう」
「…夜やで、夜。
 しかもコレ、関西圏しか、
 わかれへんで?」
「♪ありがとうー ありがとうー
 らららんらんららーらー
 ♪ありがとうー ありがとうー
 らららんらんららーらー♪」
「…壊れた」

「あのねー。
 隅田川沿い、墨田区側を、
 自転車で、
 ずーっと北へ向かっていって、
 高速の入口過ぎてから、
 しばらくすると、
 交通公園っていうのが、あるのね」
「ほー」
「自転車とか、足こぎバギーとかで、
 交通ルールを学んで、
 子どもの交通安全に、
 役立てましょう、という感じで」
「それが、どないしたん?」
「久しぶりに、
 交通公園で遊びたいと思ったら。
 …小学生までしか、
 足こぎバギー、
 貸してくれないんだって!!
 墨田区の、けちっ!!」
「自分、自動車の免許取ってから、
 何年になるん?」
「18で取ったからー…
 あんま、数えたくないけど、
 20年以上?」
「本物のクルマ、乗ればええやんか!」
「本物のクルマは、
 人が、殺せるでしょ!!
 足こぎバギーは…
 本気で人に当てると、
 大変なことになるね」
「ま、ま、ま。
 公園で遊びたい、
 いう話やろ?」
「そうでーす」

「実際問題ね?今…夜9時でしょ?
 隅田公園の、小梅小のところの、
 遊具のところ。
 ブランコなら、遊べます。
 ジャングルジムは、
 ネット張られちゃうので、ダメ。
 まー、あそこまで行かなくても、
 近所の公園に、
 ブランコ、あるけど」
「その公園、子どもは?」
「まったくいないのが、
 恐ろしいねぇ!!
 あたしが小学生の時も、
 あの公園で遊んだことって、
 ないもん。
 隅田公園行くと、運がいいと、
 小梅小の子がいるからさぁ。
 どっちか、ってーと、
 隅田公園行くよね。自転車で。
 今は横川小学校に学区が変わったから、
 横川小で、公園…
 横川小の前にある、横川公園?
 あ。コンパクトだけど、いいよ?
 ブランコ、すべり台、
 砂場、ジャングルジム。
 …お散歩がてら、
 行ってこようかなぁ…
 夜の遊具封鎖があると、
 寂しいけどね」

「公園は、お隣台東区が、
 大失敗しちゃったんだよね。
 まぁ…世の中がそうなるとは、
 あの頃、
 誰にも想像、できなかったけど」
「どう失敗したん?」
「墨田区以上に、台東区って
 土地が高いでしょ?
 だからー。
 小学校の校庭と、公園を、
 いっしょに整備して、
 あるときは校庭、
 あるときは公園、と、
 有効活用したの。
 …ところが。
 今は小学校は、
 不審者が入らないように、
 しーっかり、閉めるので。
 公園の余地を残して、
 しーっかりフェンス、作ったね」
「いつ頃の話なん?
 校庭にも、公園にも、っちゅーのは」
「あたしがー…
 小学生…だな。うん。
 あれ?中学生?ま、そのへん」
「なんで、
 子どもに危ない時代に
 なったんやろうねぇ…」
「ねぇー。
 小梅小の運動会も、
 卒業生だ、というだけでは、
 入れない『らしい』し。
 せちがらいっちゃ、
 せちがらい、ねー」

「こう…もっとこう、
 遊べる的な公園って
 あれへんの?」
「わんぱく天国、あるね。
 押上に。
 ロープにぶらさがって、
 しゅーって、渡るのも、
 確か、ある。
 ただ、あそこ、
 名前書かないと、いけないんだよね。
 おじさんの、目の前で。
 心理的ハードルが、
 ちと、高いです」
「夜に行くと?」
「閉まってる。思いっきり」
「…アカン、か」
「だめです。ええ」

「まぁ、聞いた話によると。
 大横川親水公園を、
 北から南まで、
 ずーっと、行ってみると。
 案外、遊び甲斐が、あるらしい。
 『1,750mを、
  歩き切る元気が、
  あれば、ね』」
「なんでそない、あるん?」
「川を埋めて、作ったから。
 そいやー…
 大横川親水公園の整備も、
 たしか、あたしが
 小学生の頃。
 あの頃からは、色々と
 変わっちゃったけど。
 釣れない釣り堀、
 きれいになったけど、
 どうせ、釣れないんでしょ?」
「なんで、墨田区の釣り堀、
 どこも釣れへんの?」
「…区の様子見りゃ、
 わかるでしょ。
 お金が、あんまり、
 ありません」

「…現実問題、
 明日とか、動けるん?
 何や、布団で
 うなっとった気が」
動けません。
 ついに筋肉痛が、来ました。
 背中の筋肉痛がひどくて、
 寝るのも起きるのも、一苦労」
「長いツケやな。しゃーない」
「子どもでも、若くも、
 ないんだね。くっそー…
 ちょ。
 お手洗い、行きたいんですが」
「しゃーないやろ。
 這ってでも、行ってき」
「ほっ、はっ、
 痛っ!!くー…」
(409号)